自称週末ファーマーの菜園ブログ

人と向き合う代わりに犬と野菜と向き合い、出不精な性格ながらも少しでも進化しようとささやかな努力を続ける中年の趣味のお話。たまに出てくる仕事の話はストレス発散目的

第3話 経済学・経済政策① ~自称週末ファーマーの国家試験受験記~

7科目の学習の基本戦略は次のとおりだ。

まずはスピードテキストを読む。レベル感を感じる。次に論点の input のためにサブノート作成。論点の定着のためにスピード問題集を回転させる。さらに過去問に着手し、過去問レベルの難易度を確かめる。過去問題集を入手し、出題傾向を分析しながらヌケモレ論点を叩き込む。これが基本だ。

平成26年8月、大き目の書店でスピードテキストの「経済」と「財務会計」の2冊を購入した。最初から暗記しようとか理解しようとか思わないで読み物的に通読を始めてみる。通しで読んでみての感想はこうだ。

「経済、かぁ。いろいろと知らないこともあったけど、総じておもろいなぁ」

「苦手だと思っている財務会計は体系的に基礎からやってみる必要があるな。幸いにも時間はたっぷりあるから」

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最初から苦手意識のある科目から着手するのも気分的に乗らないから経済から精読、サブノート作成に取り掛かった。当時のメモによれば、経済学をスタートさせたのは8/16とある。サブノートが完成したのは9/2とある。おおよそ半月だった。

当然にサブノートは作るのが目的ではない。

自分の場合には input することを目的としている。つまりは書きながら、声に出しながら、手とアタマで覚えていくというイメージだ。それに過去問等で出てきたヌケモレ論点を追加して書き込むことも出来る。

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本格的に学習を始めてこんな気づきを得た。まずはミクロ経済学から。

・経済学で言う「限界」は直線の傾きを表す。つまり「1単位増やしたときに得られる増加分」という意味合い。また、「逓増」「逓減」のように経済学独特の用語がある。

・あまり数学的知識は必要ない(笑)

・単純なモデルで説明するようにしているだけ

・グラフが多い

問題は、と著者は思う。理解は出来るが、解答するという output までに要する時間的な戦いになりそうだ、と。

 

1.家計の行動

 ここでは無差別曲線というのが初見だった。いろんな仮定があるんだね。予算制約線と無差別曲線をセットにしつつ、上級財・中立財・下級財、加えてギッフェン財を押さえる。スルツキー分解はなんとか理解できた。大事なことは手を動かすことだった。財の識別はスルツキー分解の際の、所得効果で判断するんだ。へー。

 需要と供給。労働供給量ってこういう理屈だったのかと改めて思った。これは後方屈折型労働供給曲線で説明できるんだぁ。すげー。

2.完全競争企業

 利潤と利益って違うんだ。なんだかすごい。経済学では「利潤」を使用するんだね。利潤がプラスということは他の産業に比べて利益が多いということを意味する。

 ここでは「費用」について時間を割くこととなる。総費用(TC)、固定費用(FC)、可変費用(VC)、平均費用(AC)、平均可変費用(AVC)、それと限界費用(MC)と限界収入(MR)の違いを明確にするのに時間をかけた。特にグラフ上で、MCはAC、AVCの最小点で交わることを手を動かしながら理解に努めた。完全競争企業における利潤最大化条件はMC=MRであり、このときの生産量が利潤最大になるときの生産量。完全競争企業はプライステイカーなので常に一定の価格で供給できる。ここもグラフで理解だ。

 さらに完全競争企業は「短期」「長期」で行動パターンが異なることが分かった。長期では利潤がプラスであれば新規参入が起こり、利潤はゼロとなるので長期市場均衡とは、需要と供給の交点であり、かつ、企業の利潤=ゼロとなる状態となると理解。

 企業は労働の限界生産力=実質賃金率で利潤最大となる労働需要量を決定し、長期においては、企業は資本の限界生産力イコール実質利子率で利潤最大となる資本需要量を決定する。なんだか実質とか名目とかで間違えそうだ。

 完全競争市場均衡についてはワルラス調整、マーシャル調整ね。ワルラス調整は価格、マーシャル調整は数量が調整のキーとなるわけだ。ふーん。他には蜘蛛の巣調整過程というのもあるんだね。

3.不完全競争市場

 供給における独占企業は生産量を増やすと価格が下落するというプライスメーカー。まぁ独占なんだからそうだよね、と思った。独占企業の利潤最大化原理はMR=MCとなる生産量を決め、価格は需要曲線に沿って決めるわけだ。いわゆるクールノーの点。それにここではラーナーの独占度とかHHI指数といった初見のワードも出てきた。

 独占的競争。これって不完全競争市場とはちと異なる。供給者は多数存在し、競争的。供給する製品はある程度の差別化がなされている市場と定義される。ちなみに完全競争市場は競争者多数で商品は差別化されていないのだ。独占市場との類似点もあり、ここは出題者側に立てばひっかけ系問題を作りやすいところだと思う。

 独占的競争においては短期に利潤を得ていると新規参入が起こる。最終的には利潤がゼロになるまで参入は続き、長期均衡においては利潤はゼロになる。ここは完全競争市場と似ているところだ。ここもひっかけ系だな。短期均衡におけるグラフなんかも要注意だし、利潤の範囲とMC、MR、ACの交わりがポイントになりそう。

 次は寡占について。いろんなワードが出てくる。まずは寡占市場の定義から。供給者が少数である市場。各企業は価格支配力をもつし、特定のライバル企業の影響を受ける。ゆえに価格が下がりにくいし、つまるところ非価格競争が起こりやすいといった市場だ。参入阻止価格とか屈折需要曲線、フルコスト原則など覚えるべき語彙がたくさんだ。

 ゲーム理論という興味深いテーマがあった。少しは聞いたことあったけれど、体系的に学べるのはうれしい。ゼロサムゲームミニマックス理論、ナッシュ均衡囚人のジレンマ、バックワードインダクション、コミットメント、チェーンストアパラドックス、シャプレー値、など楽しめた。経済学よりもむしろ心理学とか行動経済学的な要素も感じられた。クールノーモデル(生産量)、シュタベルグモデル(生産量)、ベルトランモデル(価格)などの考え方も興味深い。

4.効率性と公平性

 要するに限られた資源の分配の話。所得分配の問題を扱うってこと。現在のわが国の状況と紐付けて考える。ローレンツ曲線とジニ係数。公的機関の出す統計資料を要チェックだね。

 次いで余剰分析。効率性をどう測ろうかということ。ありていに言えば、社会全体の利益がマックスになるとき、最適資源配分が実現されるってことだね。そのためには市場は完全競争市場が望ましく、政府の介入や独占市場は非効率になるのがポイントだ。政府の介入、つまりは税金とか補助金とか関税とかいった要素が加わって時の余剰を測る問題なんかが出ているようだ。余剰の損失を答えさせる、みたいな。

 また効率性を測ることについて、パレート最適というワードもある。これは小学生のときから知っていた言葉だが、詳しくやるほどワケ分からなくなる。パレート最適とは「他の経済主体の効用(満足)を下げることなしには、自己の効用を増加させることが出来ない状態」のことをいう。ちなみにゲーム理論ナッシュ均衡パレート最適ではないです。パレート最適に絡めて、ゲーム理論だったり、エッジワースのボックスダイヤグラムなどが出題されるらしい。

5.市場の失敗

 市場に任せていてもうまくいかないこともあるんだよって話ですな。完全競争市場に任せることで「神の見えざる手」が機能し、最適資源配分が実現するはずが、市場に任せていては最適資源配分が実現できなくなるケースを学ぶのだ。

 当初は完全競争市場だったのがやがては自然的に独占状態になり、非効率が生じることがある。身近な例で言えば、電力や水道、ガスなどといった費用逓減産業だ。費用とは平均費用のことであり、生産量の増加に伴い、平均費用が低下するような費用関数を持つ産業をさす。自然独占を放置すると余剰の損失が発生するので、ここは政府が積極的に介入することとなる。消費者の効用(つまり消費者余剰)と生産者の効用(生産者余剰)がともに満足するような形で規制が行われる。一つには限界費用価格形成原理、いまひとつが平均費用価格形成原理。この二つのよいとこ取りしたのが二部料金制。

 経済学では当事者を「内部」、第三者を「外部」ということがある。ここで登場するのは外部効果というワードだ。当事者以外の第三者に便益を与えることを外部効果。それに対して第三者に損害を与えることを外部不経済といいます。外部効果が働く場合はえてして供給量は過少であり、外部不経済が発生する場合は供給量は過大になる。これが市場の失敗だ。だから外部不経済の市場の失敗に対しては、ピグー税だったりコースの定理などの対策が有効となる(ようだ)。ここでも外部不経済が発生している場合の余剰分析とピグー税などの対策後の余剰分析の問題が出題されるらしい。

 ・・・と、市場の失敗に対しては政府の役割が重要になる。つまりどうして政府は必要なのか、ということだ。ここでは公共財というワード。消費の排除不可能性と消費の非競合性を同時に満たす性質を持つ財と定義される。それはたとえば、防衛や警察を考えるとよい。公共財は排除不可能なので自ら対価を払って購入しなくてもただ乗り(フリーライド)出来ます。こういったものを市場に任せているとどの企業も参入しなくなりますね。

 また、ここでは情報の非対称性ということを学びます。つまり情報が正確に伝わらないということです。情報が正確に伝わらないことによって「逆選択」や「モラルハザード」といった不経済が生じることになります。

 さらには期待効用仮説ということも学びます。不確実な世界において家計は期待効用(確率を考慮した効用の平均値)を最大化するように行動すると考える。たとえば、50%の確率で100万円手に入る場合と50%の確率で10万円手に入る場合、危険回避型の行動をとる人、中立的な立場の人、ギャンブルにかける人(笑)について考えます。実はこの期待効用仮説については後に重点的に学習する財務会計のファイナンスの分野に関係してくる。

6.貿易理論

 今、農業自由化が叫ばれていますが、果たしてわが国の利益になるんでしょうか、ということを経済学的に考えよう、というテーマです。自由貿易は輸出側、輸入側ともに利益が出るというのが結論。それを比較生産費説や無差別曲線理論、余剰分析によって説明しようではないかということ。さらに輸出する財、輸入する財はどうやって決めるのかというヘクシャー=オリーンの定理も出てきます。

 逆に保護貿易には利益はないのかということも考えていきます。輸入品に関税をかけた場合、当然に余剰は減少する。政府による補助金は関税や輸入数量規制よりも余剰の損失が少なくなることが分かっている。国内産業保護の目的で保護貿易をしているが、これは幼稚産業保護論として保護貿易の根拠になっているわけだ。

 

 ここまでミクロ経済の分野を振り返ってみたけれど、理解することと試験に解答することは全く違うのだということに気づけなかったのが反省点だ。

理解して当然。次のステップとして解答するというプロセスの鍛錬が足りなかったのだと気づいたのは試験二日目の会場へ向かうバスの中だった。