自称週末ファーマーの菜園ブログ

人と向き合う代わりに犬と野菜と向き合い、出不精な性格ながらも少しでも進化しようとささやかな努力を続ける中年の趣味のお話

第20話 企業経営理論⑥ コトラー先生登場 ~自称週末ファーマーの国家試験受験記~

国家試験受験記は第20話目であります。今回は企業経営理論の6回目でございます。いよいよマーケティング論に入るのであります。いやはや、こういう記事をエントリするだけでもしんどいですが、やるからには貫徹させたいものです。
え? そんなもん書く暇があったら勉強しろよって
いやいや、これが勉強になっているのでございますよ。
本当にテキストをひろげながら書いているのですからね、章ごと、節ごと読んではポイントを絞って、の繰り返しなんでございますからこれは立派に復習になっているのでございますよ。

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っつうことで、今回からマーケティング論に入ります。
このマーケティング論は基本的には経営戦略論などと違って日本語の解釈よりも暗記が中心だと感じています。まず、本試験の選択肢が複雑じゃないし、一問一答的な問題も多いし、戦略論に比べたらとっつきやすいテーマといえそうです。
それではいってみましょう。

まずはマーケティングの定義。アメリカ・マーケティング協会(AMAというそうです)の定義の変遷と、フィリップ・コトラー先生の定義。実際に出題されたこともある。


<AMAによる2004年の定義>
 「マーケティングは、組織的な活動であり、顧客に対し価値を創造し、価値についてコミュニケーションを行い、価値を届けるための一連のプロセスであり、さらにまた組織及び組織のステークホルダーに恩恵をもたらす方法で、顧客関係を管理するための一連のプロセスである


<2007年の定義>
 「マーケティングとは、顧客やクライアント、パートナー、さらには広く社会一般にとって価値のあるオファリングスを創造・伝達・提供・高官するための活動とそれに関わる組織・機関、および一連のプロセスのことを指す


でもなんで、「オファリングス」だけカタカナなんだろうね(笑)

マーケティングの基本的な考え方をマーケティングコンセプトというが、これは時代の移り変わりとともに変遷している。ま、当然だな。
生産指向→販売指向→顧客志向→社会志向 と移り変わっている。さらにコトラー先生は生産指向と販売指向の中間に製品志向という考え方を位置づけている。生産指向はまず製品ありきの考え方であり、コトラー先生の言う製品志向とは企業は常に製品の改良に努力すべしという考え方。販売指向とはプロダクトアウトという発想で、企業の技術を生かした製品作りで市場でその是非を問うといった考え方。顧客志向とはマーケティング志向のことであり、いわゆるマーケットインという考え方。最後の社会志向とはその企業の利潤だけではなく、社会全体に与える影響までを考慮しなければならないとする考え。1960年代の終わりごろになるとソーシャルマーケティングという考え方が登場した。
製品志向に関して、生産者・販売者が消費者のニーズを謝って判断し、消費者が気に入らなかったり、別のものを求め始めていることに気づかないという近視眼的マーケティング(マーケティングマイオピア)に陥ることもあるとしている。

コトラー先生はマーケティングマネジメントプロセスを次のように定義している。
 マーケティングマネジメントプロセスとは、
 1) 市場機会を分析し、 2)標的市場を選定し、  3) マーケティングミックス戦略を開発し、  4) マーケティング活動を管理していくことである。
これを受けてスピテキでは、次のように説明しようとしている。
① マーケティング環境の分析
② マーケティング目標の設定
③ 市場細分化
④ 標的市場の選定
⑤ 市場ポジショニング
⑥ マーケティングミックスの開発
⑦ マーケティングミックスの実行

とまぁ、コトラー先生の言うことに忠実に構成されているのだけれど、マーケティング論は診断士試験の学習をする前にある程度勉強していたところだから企業経営理論の後半部分はとっつきやすいような気がした。興味もあるしね。

まずマーケティング環境の分析として、企業の外部環境に対してその機会と脅威の分析を、また企業の内部環境に対してはその強みと弱みの分析を行う。これがいわゆるSWOT分析だ。外部環境というのはマクロ的なものとミクロ的なものが存在する。マクロ的な要素は政治・経済・社会など、ミクロ的な要素は消費者を始め、競争企業や利害関係のある集団、産業の状況などが該当する。企業の活動に対してそういったマクロ的ミクロ的な要素が新規事業の開発や既存事業の拡大につながる機会となるのか、また既存事業の継続に対して脅威となりうるのかを識別する。一方、内部環境を分析することでその企業の強みと弱みを分析する。内部資源とはヒト・モノ・カネなどが該当するが、これらはいわゆる経営資源のことだ。
このようにSWOT分析はよく聞く言葉だし、マーケティング等に興味のある方には思いいれもあることだろう。しかしながら、診断士試験の世界にあっては、教科書以上のことが求められているわけではない。だから二次試験の事例Ⅱでは誰でも書けるような教科書的な解答が求められている。是非はあるのだろうけれど、中小企業庁が求める診断士とは違うのだ。
SWOT分析の後で、マーケティング目標の設定を行う。それは売上高であったり、利益額、市場占有率、企業・製品イメージかもしれない。あくまでもこのマーケティング目標は数値で示されることが必要だとされている。

続いてはターゲットマーケティングについて。
先にマーケティングにはプロセスがあると書いた。SWOT分析により、機会と脅威、強み弱みを把握する。そして目標を設定する。外部環境により、機会を得て脅威を知る。内部環境によって強みを活かすことを考え、その結果として目標が定められるという流れだ。
次なる手順はターゲットマーケティングだ。カンタンにまとめると、市場細分化→市場ターゲティング→市場ポジショニング という段階を踏む。
まずは市場細分化であるが、これはマーケットセグメンテーションとも呼ばれている。市場を一定規模に保ちながら、かつ同質的なニーズを持つ消費者の集合に区分するという手法である。要するにただただ細かくすればよいというものでもない。ターゲットを絞るためには、市場規模や購買力が容易に測定できることが条件だし、そこでマーケティング活動が行えることも条件だ。また差別化可能性として、選定した市場に対して行ったマーケティング活動の反響が予想通りであることも重要だ。つまり、選定した市場で行ったマーケティング活動によって異なる反応が生じたとなれば、市場細分化が不十分だという示唆になるからである。
この市場細分化は競争相手と競合しないように異なるポジションを選択するという作業だから、細分化の基準も多面的でなくてはならないとされる。一つには地理的基準だ。関西方面の人に、関東風のうどんやそばを提供しても売れないだろうから、地理的な要素は非常に重要だといえる。次に人口統計的基準だ。今、少子化が叫ばれて久しいが、少子化が進む時代の中で子供をターゲットとする市場を選択しても永続的な成長にはつながらないだろう。三つ目にはサイコグラフィック基準と呼ばれる心理的基準だ。これは消費者の価値観やライフスタイルなどにより市場を細分化する手法だ。最後に行動変数基準。消費者の製品に対する知識、態度、使用、反応などに焦点を当てて細分化する手法である。
このように市場を細分化し、ターゲットを絞ることで消費者のニーズに適合したモノ作りが可能になるし、マーケティング資源が有効に使える。また市場環境の変化にも柔軟に対応できることがメリットとして挙げられる。

続いては標的市場の設定だ。市場を細分化したら標的となるセグメントを選択する。再びコトラー先生が登場。
コトラー先生は、標的市場の設定パターンとして、無差別型、差別型、集中型の三つを挙げている。無差別型とは、消費者ニーズの相違点ではなく、共通点に着目し、細分化された市場間の差異を考慮せずに、単一の製品を全ての市場に投入していく方法だ。また差別型は細分化された市場ごとのニーズに合わせた複数の製品を、それぞれの市場に投入する方法。三つ目の集中型は細分化された市場の中から特定の市場に限定し、そこに最適な製品を投入していく方法だ。
つまり、無差別型は単一製品を全市場に投入できるため、製造コストやマーケティングコストなどが低減できる一方で、単一製品しか投入していないのですべての消費者に受け入れてもらうことは不可能だといえる。また、差別型はここの市場のニーズに対応するため、全体の売上が向上する一方で、個別にマーケティングミックスを構築する必要が出てくるためマーケティングコストが増える。三つ目の集中型は経営資源を有効に利用できるメリットがあるのに対して、市場に対するリスクを分散させることが出来ないというデメリットがある。コトラー先生はこのように考えたのだ。
それに対して、コトラー先生に対抗するエイベルさんという人がいる。
エイベルさんは標的市場の捉え方を、「全市場浸透型」「単一セグメント集中型」「製品専門型」「市場専門型」「選択的専門型」の5つに分類している。
エイベルさんが言う、「全市場浸透型」はコトラー先生の言う「無差別型」に対応する。
「単一セグメント集中型」は同一の製品をあるセグメントだけに投入する方法。「製品専門型」は同一の製品を複数の異なる市場に投入する方法。「市場専門型」は同一のセグメントに異なる製品を複数投入する方法。「選択的専門型」は複数のセグメントに対してそれぞれ異なる製品を投入する方法だ。
なんだかコンランシテキタ・・・。

標的市場を設定したら、自社製品の優位性を検討し、自社が市場で占める位置を明確にしなくては新規市場で勝っていくことが出来ない。そこで、市場ポジショニング分析が行われる。
市場ポジショニングは、競争上の位置づけを意味し、製品間における競争の中で、いかにして自社製品が競合品との差別化をはかり優位に立つかを検討することである。市場ポジショニングでは「知覚マップ」と呼ばれるマトリクス表を作成することがある。
市場ポジショニングによって、競合品との対比による位置づけが明確になると同時に、自社の製品ラインの位置づけを明確にすることが出来る。自社の製品ラインを明確にすることで、新規に投入する製品が同一市場で競合することのないように注意する必要がある。つまり、自社製品が複数存在することで同一市場で顧客を奪い合うカニバリゼーション(共食い)がおきないように注意する必要があるということだ。

SWOTによる環境の分析、目標の設定、ターゲットの設定を踏まえ、具体的なマーケティングミックスを開発し、実行していかねばならない。
ここではまず、「マーケティングの4P」から始めよう。
マーケティングの4Pとは、製品(Product)、価格(Price)、チャネル・物流(Place)、プロモーション(Promotion)のことを指す。ありていに言えば、選定した市場で勝ち抜くためには、どんな製品を、どんな価格で、どのような流通経路で、どうやって宣伝していけばよいのか、の意思決定をしていくことでもある。

よく似たフレームワークに「マーケティングの3C」と呼ばれるものがある。この3Cは企業を取り巻く環境を、自社・顧客・競合の三軸で分析するものである。決してマーケティングミックスの開発・実行で使われるフレームワークではないことに注意する必要がある。

実はマーケティング論は、診断士試験受験を決意させてくれた前社長の影響で勉強を始めたといっても過言ではない。マーケティングは実に奥が深いし、著者が思うにはいまだに理論として完成しきっていない分野ではないかとさえ思う。診断士試験の勉強を始める前までは、マーケティングに関する内容の多くは市販されているノウハウ本で得た知識だ。でもマーケティングって刻一刻と進化しているように思えてならない。

そこである人のブログを発見した。そう、知る人ぞ知る有名人、安宅和人氏のブログだ。

d.hatena.ne.jp

 

説明は不要だよね。