昨年は菜園に通ずる農道が舗装工事を行うというので家庭菜園的活動の指導が遅れた。結局現在もアスファルトは敷かれずという体たらくで地方都市の予算の少なさを垣間見た気がした。
今年になって、というよりも正確には年末ごろからだが、再び舗装工事が始まった。いや、拡幅工事だ。この期の拡幅工事が終わったらアスファルトを敷いてもらいたい。そうでなければ耕耘機を菜園に持っていくのがしんどくなるから。砂利道を進むのは結構つらい。
また、昨年はほとんど家庭菜園的活動ができなかった。いや、しなかった。国家試験に専念したいという気持ちがあり、春夏野菜を一部栽培、収穫した後は完全なる放置。秋冬野菜も越冬野菜のタマネギも栽培しなかった。だから圃場は耕作放棄地のごとく荒れ果てていたのだが、年明けになって、圃場の5Sを実施できたわけだ。
やらねばならなかったことは雑草残渣の始末であった。
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当菜園は緑肥による土作りと植物性堆肥の活用による生物多様性と地中微生物の活性化による農法というワケわからん栽培手法を用いている。要するに積極的に動物性堆肥を使用することなく、緑肥による粗大有機物が腐植を生み出し、微生物が分解しつつ農産物を栽培するという家庭菜園らしからぬ栽培手法。当然に一朝一夕にはいかず、我慢強く、かつ腰をすえて土に向き合う必要がある。
ゆえに当菜園では緑肥栽培を積極的に取り入れている。
基本はイネ科のエンバク。こいつは2ヶ月栽培したら刈り込み、土に鋤き込む。同時にセンチュウ密度の低減目的もある。エンバクは春播き、秋播きどちらも可能だ。
春夏シーズンはソルゴーも利用する。これは繊維質の枝葉が良質な腐植を作ってくれる優れものだ。
それとセスバニア。こいつは耕盤破砕目的。
一方で秋冬シーズンはマメ科緑肥を活用する。
ひとつはヘアリーベッチであり、今ひとつはクリムソンクローバーである。
当菜園に現在自生しているのはクリムソンクローバーだ。
一昨年の秋に播種した個体のこぼれタネが発芽したものだ。完全に放置プレイだったので発芽がまばらになってしまった。
ベッチもクリムソンも越冬する緑肥で夏本番前に枯れてしまう。どちらも枝葉は柔らかく鋤き込みやすい緑肥だ。分解も早い。マメ科緑肥なので栽培中は空気中の窒素分を取り込み、土に供給する根粒をもっている。
花期はGW頃で真紅色の花を咲かせる。ストロベリーキャンドルという名称が知られているが、花後は種をつけ、発芽力もそれなりにあるので放っておけばちゃんと発芽する。年に数回、巷を散歩する老婦人や老紳士がクリムソンを欲しがるので無償で提供している。
「どうせ菜園を放置するんだったら緑肥でもやっときゃよかったぜ」
とつぶやいてみたが、誰も「賛成」「異議なし」とか言ってくれなかった。