自称週末ファーマーの菜園ブログ

人と向き合う代わりに犬と野菜と向き合い、出不精な性格ながらも少しでも進化しようとささやかな努力を続ける中年の趣味のお話

自家製堆肥

当菜園は落ち葉堆肥・イネワラ堆肥・モミガラ堆肥と異なる三タイプの堆肥を内製している。田舎ゆえこれらの資材には事欠かない。ほとんどタダだと言ってもいい。晩秋の頃になればせっせと落ち葉を拾い集めて、イネワラやモミガラを調達しせっせと堆肥箱に放り込む。米ぬかを混ぜたり水を撒いたりしてといった人為的な手段は用いない。ただ単に「放っておく」だけだ。翌年の夏前には立派な堆肥となっている。

むろん、このように内製しなくても堆肥を入手することは出来る。市販されている多くは動物性堆肥だが、実はその中身は得体が知れない。まじめな業者もあろうが、そうでない業者もいる。安かろう悪かろうで安物の堆肥は未熟なものが多い。購入後、1年近く熟成させておけば使用出来るのだろうが、大半の消費者は購入後すぐに使用することとなる。 そうした消費者はとにかく堆肥を入れることが有機栽培だと勘違いする傾向があり、多く入れれば入れるほど未熟な堆肥が原因で病気を誘発することに気がついていない。未熟な堆肥は害になるだけで野菜にとってはちっともありがたくない。

当菜園でも市販されている動物性堆肥を使用することはある。ただ、滅多にないことでもある。市販品で投入してみようと思うのは腐葉土だけだ。例の、3・11以来、堆肥や腐葉土の消費者価格は高騰した。いや、便乗値上げといってもいい。こんな質の悪い堆肥が15リットルで800円を超えるなど消費者をバカにしていると思えるのだ。価格と品質が比例していない。

とはいえ、市販されている腐葉土も菜園に投入することはない。なぜなら緑肥を粗大有機物として圃場に投入しているからだ。投入された粗大有機物は鋤き込まれてから1ヶ月超の熟成期間を経るから未熟な堆肥を入れた時と同様な障害はない。ただ、コガネムシの幼虫は住み着く。だから彼らが悪さすることも想定しているが目立った被害は少ない。

3・11を予測していたわけではないけれど、当菜園では堆肥を内製してきた。 積み上げた有機物はカブトムシの幼虫によって分解され、良質な堆肥になることをもくろみ、カブトムシの幼虫が取り付くようにたっぷりの有機物を積み上げる。結果的にカブトムシが産卵してくれればあとは有機物を補充するだけで堆肥が出来上がっていくというスキームだ。 偉そうなことを書いているが、実は内製された堆肥を本格的に圃場に投入したことがない。もちろん、本格的に投入するほど量的に確保が間に合っていないこともあるのだが、本格的に自家製堆肥を投入出来ていない一番の理由はカブトムシの幼虫がわんさか存在するからだ。 カブトムシの幼虫は未熟な有機物を食べ、それを消化し、糞にすることで良質な堆肥に変えている。 カブトムシの幼虫はわりかし有機物の選り好みをしないから落ち葉だろうがイネワラだろうがモミガラだろうがホダ木だろうがなんでも食らいつく。だから一回取り付いてもらえれば種類問わずどんどん有機物を積み上げておくとしっかりと分解してくれるのだ。分解されたモノを堆肥として利用する、というわけだ。 だが、先にも書いたように本格的に使用するためには量が足りない。また、堆肥を集めようとするともれなく幼虫が付いてくる。 見る人が見たら卒倒しそうなくらいの量の幼虫が住み着いている。 今年も一夏を経ていい感じに堆肥化している。 黒々とした感じのいい落ち葉堆肥だ。

落ち葉堆肥はミネラルが豊富で食味が増すと言われている。ただ、本格的に試したことがないのと、食味は定量的に表現出来ないので実体験としての意見が言えない。 モミガラ堆肥は水はけを良くしてくれると言われているが、分解が遅い。1年間放置しただけではダメだ。当菜園のモミガラ堆肥は3年間放置している。今年は少し補充しておく必要があるかもしれない。それでも400〜500リットルくらいは補充する必要があるだろう。 イネワラ堆肥はもっとも分解の早い有機物だ。これらの中でC/N比が最も低いイネワラは当菜園の中で最も早くカブトムシの幼虫が住み着いた。分解が早いから消費も早い。よく食べるんだ、カブトムシの幼虫は。堆肥箱いっぱいに突っ込んだイネワラは半年後には75%程度が消化されてなくなってしまう。 さすがにモミガラ堆肥の中にいるカブトムシの幼虫はサイズが小さいけれど、落ち葉やイネワラ堆肥に生息する幼虫はジャンボサイズのものが存在していた。栄養価の高い米ぬかなどをふりかけておくともっと大きなサイズになるかもしれない。ま、目的は堆肥化することであって幼虫を飼育することではないからね。

なにはともあれ、晩秋にもなれば落ち葉集めに出かけることになり、家庭菜園的活動も活動そのものが収束していく。年内いっぱい集めれば食欲旺盛な幼虫たちが困ることもないだろう。 このように当菜園ではカブトムシの幼虫を活用した堆肥作りをしている。ただ本格的に使用するためにはまだまだ量が不足している。 現状は緑肥を活用することで圃場に栄養を与えているが、今後、植物性堆肥とのタッグを組ませることで良質の野菜が収穫出来るようになるのだろうか? そもそも、緑肥を分解しようとする微生物とカブトムシの糞に取り付く微生物は種類が異なるだろうし、異なる微生物、しかも多種多様な微生物によって野菜の生育にどのような影響があるのも確かめてみたい。

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落ち葉堆肥箱。

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モミガラ堆肥箱。そして

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イネワラ堆肥箱。

どの堆肥にもカブトムシさんの幼虫がいる。

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イネワラ堆肥に住み着いた幼虫。丸々としたフォルムがなんともかわいい。

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モミガラ堆肥の幼虫はサイズが小さいな。やっぱりモミガラじゃ食べにくいんだ。

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落ち葉は少し掘るだけでわんさか幼虫が出てくる。これじゃ農業用フォークを刺したら串刺しにしてしまうからね。

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肝心の堆肥の様子はこんな感じ。分解され、ほどよく土状に仕上がっている。

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幼虫さんがいるところではこのように糞がたくさん。これらが良質な堆肥を作ってくれるのだ。