自称週末ファーマーの菜園ブログ

人と向き合う代わりに犬と野菜と向き合い、出不精な性格ながらも少しでも進化しようとささやかな努力を続ける中年の趣味のお話

第21話 企業経営理論⑦ マーケティングリサーチと消費者購買行動 ~自称週末ファーマーの国家試験受験記~

国家試験受験記の第21話。今回も企業経営理論のマーケティング論でございます。
今回はマーケティング環境の分析についてでございます。マーケティングリサーチといいますが、マーケティングデータとその種類、データの集め方などの、どっちかといえば散文的な話題であります。当の著者は真剣そのものではありますが、「家庭菜園的活動を読みたかったのに!」という方はお読みになると疲れます。まったくもって興味関心の世界でございます。それでは始めましょうか。

***

マーケティングリサーチの基本は仮説検証型のアプローチが有効であるとされている。またマーケティングリサーチを行う際には母集団すべてを調査する全数調査と、標本を抽出する標本調査(サンプル調査)がある。標本調査を行う際には、その標本の抽出方法として、①有意抽出法 ②無作為抽出法 がある。ただそれだけ。
マーケティングリサーチで得られる情報は一次情報と二次情報に分けられる。前者の一次情報とはマーケティングリサーチにより得られるデータを指し、後者の二次情報は公開されている刊行物から得られる既存のデータのことを指す。
さらにデータの収集方法にはいくつかの方法が存在する。
質問法として、
1) 面接法(個別面接と、1対複数のグループインタビュー)
2) 電話法
3) 郵送法
4) 留置法
のように分類できる。これらのメリット・デメリットを整理することが必要だろう。

また観察法としては、たとえば、小売業などで行われる動線調査や他店調査、商店街で見かける通行量調査などが該当する。
さらに実験(計画)法という手段があり、これはある変数を操作することによる、別の変数への影響度を調査する方法である。例を挙げるなら、広告を実施した地域と実施していない地域の売上高の変化を測定し、広告の効果を調査するというもの。
ここで、面接法、電話法、郵送法、留置法のそれぞれについて、メリット・デメリットを整理してみる。
<面接法>
 メリット   相手の反応に応じた質問が出来る
 デメリット  多大なコストがかかる
<電話法>
 メリット   広範囲に短時間で調査することが出来る
 デメリット  調査時間が短いため、回答者に不信感を与える場合がある
<郵送法>
 メリット   比較的少ないコスト
 デメリット  調査の主旨に合致した郵送リストを入手することが困難
<留置法>
 メリット   調査員が記入モレや無回答を点検できる。回答内容の信憑性が高い
 デメリット  回答者が異なる場合がある

次の話題に移ろう。
まずは消費者購買行動についてだ。
前にも述べたように、SWOT分析を行うことでマーケティング環境を分析し、市場を細分化した上でターゲティングを行い、マーケティングミックスを実行する。
だが、そのマーケティングミックスが市場に受け入れられるかは消費者の購買行動を知った上で行うことが必要だ。つまり市場のニーズを踏まえたものでも、市場を形成する消費者の購買特性を知ることでよりよいミックスが開発できる可能性が高まるからだ。
最初に、消費者行動モデルということで、四つを見てみよう。
一つ目は、刺激-反応モデル(S-Rモデル)だ。消費者がマーケティングという刺激に対してどう反応するのかという点に焦点を当てた考え方。刺激から反応にいたるプロセスはブラックボックスを通しているので、そのブラックボックスを解明することが必要であるが、(そんなもん、解明できるわけないやろ!)
二つ目は、S-O-Rモデルだ。消費者の行動を、刺激→生体→反応という図式の中で捉えようとするモデル。消費者の心的プロセスを理解しようというものである。
三つ目は、情報処理モデルだ。これは消費者を受動的に行動するものと考えたS-Rモデルと異なり、能動的な消費者を前提にして構築された消費者行動のモデルである。消費者の経験の蓄積である内部情報を用いて、外部情報を消費者の主観によって解釈しようというもの。なんか意味不明だなぁ。
最後は、精緻化見込みモデル。消費者の購買行動は、必ずしも論理的な判断によるものではなく、勘定や感覚的な判断によるものであるとするモデルである。いわゆる衝動買いがこれで説明できるということだ。

続いては、購買意思決定プロセスについて。
ここで三度コトラー先生が登場する。コトラー先生、がんばるね。
コトラー先生は、消費者が購買する際は次の5段階を通過するとしている。

1)問題認知 2)情報探索 3)代替品評価 4)購買決定 5)購買後の行動

まずは、1)の問題認知からだが、これは難しくない。ハラ減ったーとかいい匂い、とかそんなイメージ。ニーズを感じることだね。
2)の情報探索だが、これはややこしいところがある。
まず、ニーズを感じた消費者は、それを満たすために情報探索を開始する。初めに自らの記憶や知識から情報を探索するという内部探索から入る。それが不十分だと感じれば、書籍やインターネット、知人から情報を得ようとする外部探索を行う。外部探索を行う傾向が強くなる状況としては、価格が高かったり、品質のバラツキが大きいなどが挙げられる。
また、消費者の中心的価値と財・サービスなどの対象との結びつきを「関与」という。ある製品に対して「関与が高い」ということはある製品に対してこだわりがあるということに他ならない。製品に対する関与が高まる要因としては、価格が高いとか購買頻度が低いとか所有することで社会的評価に影響を与えるとかいったことである。
消費者購買行動でいうところの「知識」とは実体験に基づいて保持している知識のことである。

ここでさらに、口コミと準拠集団について触れている。
口コミは関与が高い製品やサービスほど口コミ情報を探索する傾向が強いことが知られている
また、準拠集団とは、消費者の態度や行動に影響を与える集団あるいは個人のことである。これはいい意味にでも悪い意味にでも当てはまる。つまり、実際に所属している集団であったり、所属はしていないが所属することを望んでいる集団であったり、反対に所属することを望まない集団であったりする。準拠集団の影響を受けやすい製品として、公的な(人目につきやすい)もの、高級品、低関与品などが挙げられる。

実は消費者の購買決定行動は、購入する製品についての評価基準と選択肢が確定しているか否かによって、三つのタイプに分類できるとしている。
 ① 定型的問題解決(日常的反応行動)
 ② 限定的問題解決
 ③ 発展的問題解決(拡大的問題解決、包括的問題解決)

①の定型的問題解決(日常的反応行動)は、製品の評価基準も選択肢も確定している場合に見られ、製品についての知識も豊富でブランドについても選好が確立している場合に見られる。
②の限定的問題解決は、製品の知識は豊富だが、ブランドについての知識が乏しい場合だ。自家用車を買おうと思っているのだけれど、どのメーカーにしようか迷っている、みたいな感じだろうか。
③の発展的問題解決(拡大的問題解決、包括的問題解決)は、製品についてもブランドについても知識が不十分な場合。概して、このような製品の価格は高く、購買頻度も低いことが多い。パッと思いついたのがマイホームとかかなぁ。

あ、やっと3)代替品評価だ。長かったなぁ。
情報探索により収集した複数の代替可能なものの情報を比較検討し、その評価を行う。
4)購買決定は、代替品を評価して、消費者はもっとも評価の高いものの購買を決定する。
最後の、5)購買後の行動。そもそも消費者は、購買したものが期待通りであれば満足を得るが、期待はずれだった場合には不満足を感じるもの。消費者は一般的に何らかの形で不満足を感じることが多く、この不満足を解消させるような行動を取ることが知られている。
たとえば、購入した製品の欠点を見つけた場合には購入した製品の広告などを積極的に見るなどして長所を発見しようと努めたり、逆に購買しなかった製品のあら捜ししたりするような行動が見られる。これを認知的不協和の理論と呼んでいる。


ここまで、消費者購買行動について眺めてみたが、初見のものもあったし、マーケティング論というよりも心理学的な要素が強い分野だった。

組織購買行動については割愛する。だってあまりにもカンタンなんだもん。