自称週末ファーマーの菜園ブログ

人と向き合う代わりに犬と野菜と向き合い、出不精な性格ながらも少しでも進化しようとささやかな努力を続ける中年の趣味のお話

第23話 企業経営理論⑨ 価格戦略 ~自称週末ファーマーの国家試験受験記~

本節は価格戦略について。
まずは価格設定における影響要因を挙げている。
 1) 企業・マーケティング目標
 2) 価格以外のマーケティング要素
 3) コスト
 4) 競争戦略
 5) 競争地位別戦略
 6) 需要の価格弾力性
 7) マクロ経済状況
 8) 法規制
の8つだ。

また、新製品の価格設定製作として次のようなものがある。
初期低価格政策
 これは市場浸透価格政策とかぺネストレーション政策とか呼ばれる。意味は読んで字の如しである。最初に低価格を設定し、圧倒的な市場シェアを獲得すれば、累積生産量もぞうかするため、コストダウンが可能になるからさらに低価格を設定することが出来るものだ。
初期高価格政策
 これは上澄吸収価格政策とかスキミングプライス政策とか呼ばれる。販売初期は高価格で、革新的な消費者を狙いとし、その後徐々に価格を下げて保守的な消費者を取り込もうとする価格戦略。これにより新製品の開発費の早期回収が可能となる。

コトラー先生は、これらの政策の成立条件として次のように述べている。
初期高価格政策では、優れた品質やイメージが高価格を支援しうること。高価格でも十分な数の購買者が実際に強い需要を持っていること。少量生産によるコストが、高い価格を請求できる優位性を打ち消してしまうほど高くないこと。競合他社がカンタンに市場参入を果たしたり、カンタンに安い価格で参入できないこと
初期低価格政策では、市場の価格弾力性が高く、価格を下げることで市場が成長すること。生産コストと流通コストが販売量の増加とともに低下すること。低価格設定することで競合他社を締め出すことが出来ること。

価格設定の方法としては以下のような方法がある。
<コスト志向的価格設定法>
 製造原価に一定のマージンを加算することにより、販売価格を設定する方法
<需要志向的価格設定法>
 1)知覚価値法;消費者が当該商品にどれだけの価値を知覚するかに基づいて価格設定する
 2)差別価格法;市場をいくつかのセグメントに分けることが可能であり、セグメントごとに需要の大きさが異なってくる場合に、同一商品もしくは原価がほとんど変わらない同一な商品に異なった価格を設定する方法
<競争志向的価格設定法>
 1)実勢価格設定法;競合他社や業界のプライスリーダーの価格を参考に自社の価格設定を行う方法
 2)入札による価格設定
<心理的価格政策>
 主に小売業で採用される場合が多い。
 1)端数価格;298円とか、3,999円とか端数が設定された価格のこと
 2)慣習価格;消費者が慣習的に価格水準を認めていて、その価格水準を上回ると需要が減少するもの。自動販売機の缶コーヒーなど
 3)名声価格;ブランド品などの高級品に対して、そのステータスを保つために付ける価格
 4)プライスライニング;10,000円、20,000円、30,000円などキリのよいいくつかの価格ラインに整理すること
<流通業者向けの販売促進的価格政策>
 1)ロスリーダー政策(おとり価格政策);小売店で特売用の目玉商品を選んで、その商品に商品原価を下回る安値を設定し、それをおとりにすることで顧客を誘引するもの
 2)ハイ・ロープライシング;特売時通常価格よりも安くし、通常時は価格を高くしたりするという一般的に見られる価格政策
 3)EDLP政策;エブリデーロープライス政策。特売時に限らず常に低価格とし、その低価格戦略に対する取り組みを消費者に訴える政策

次のテーマは価格の管理について。

価格戦略においては価格の設定だけに関心が行きがちだが、設定した価格を管理することも大事なポイントである。適切な価格管理が求められるのは行き過ぎると法律違反になったり、取引先との関係が悪化したりする可能性があるからである。
まずは割引制度。現金割引、数量割引、機能割引、販売促進割引がある。それに対してリベートは、割引のように取引の際に価格の割引をするのではなく、いったんは正規の価格での取引がなされ、一定期間経過後に現物もしくは現金の形で売り手から買い手にたいして提供される。
価格カルテルは独禁法により禁止されている行為。著作物を扱う、書籍やCDなどを除き、再販売価格維持契約はこれも独禁法により禁止されている。

次のテーマはチャネル・物流戦略だ。そんなに難しくない。
チャネルの長さは介在する卸売業や小売業の数によって決まる。いわゆる生産者直売ってのが、生産者から直接消費者。
 生産者→卸売業→小売業→消費者  これなんかメジャーな感じだけれど、
 生産者→   →小売業→消費者  最近はこんな感じも多い。
チャネルの幅とは、チャネルがその市場の流通をどの程度網羅しているかといったもの。以下のように分類される。
 1)開放的チャネル政策
 メーカーが出来るだけ幅広くチャネルを網羅することにより、広く最終消費者に商品を供給して以降とする際に採用。日用品や食料品に多く見られる
  <メリット> 販売窓口が広くなり量販に有利
  <デメリット> 販売店の協力度が小さくなる
 2)選択的チャネル政策
 メーカーが、チャネルの幅をある程度限定し、その限定した範囲の流通業者に対して優先的に製品を販売する。化粧品や家電
  <メリット> 販売努力の集中が容易
  <デメリット> 選定した販売店の協力が必ずしも十分でない場合がある
 3)排他的(専属的)チャネル政策
 メーカーが、極端にチャネルの幅を限定し、その限られた流通業者に対して一定地域の専売権を付与していく政策。自動車のディーラーやガソリンスタンド
  <メリット> ブランドイメージの維持。アフターサービスの充実
  <デメリット> 市場での露出度が低くなり、消費者の認知度が低下する恐れ
このように、それぞれのチャネル政策には当然にメリット・デメリットも存在する。

次いで、伝統的マーケティングチャネルと垂直的マーケティングチャネル(VMS)。これは違いを押さえる。
さらに垂直的マーケティングチャネル(VMS)は大きく三つのタイプに分類される。
 1) 企業型VMS
 2) 契約型VMS
 3) 管理型VMS
1)の企業型VMSは自動車メーカーとその販売店を連想してみると分かりやすいだろう。メーカー、卸、小売の各段階が一つの資本によって所有されているものだ。系列化みたいなイメージだろうか。2)の契約型VMSはさらにいくつかに分けられる。まずはフランチャイズチェーン。フランチャイザー(本部)とフランチャイジー(加盟店)のコンビにが有名だ。また小売主宰コーペラティブチェーンは小売業者による水平的統合だ。それに対して卸売主宰ボランタリーチェーンは卸売業が主宰する垂直統合のこと。小売、卸の違い、水平化垂直かの違いに留意する。

次は物流。

物流コストと顧客満足の工場は通常、トレードオフの関係にある。物流サービス水準を向上させると、それなりのコストが必要だということ。
物流の機能は大きく分けて次のように分類される。
一つには受注機能。二つ目には荷役機能。三つ目には保管機能。四つ目に在庫管理、最後に輸送だ。
輸送について説明すると、生産と消費の時間と場所のギャップを埋めるのが輸送の役割だ。輸送の形態としてはいろんな形態があり、それぞれにメリット・デメリットがある。複数の荷主の商品を一つの輸送機関に混載して効率的に輸送する方法が混載輸送。小売業者が書く仕入先の商品を自社の物流センターに取りまとめて店舗に納品するのが一括物流。鉄道とトレーラー輸送の結合がビギーバック方式輸送する荷物を輸送に適した標準単位にまとめて輸送するシステムをユニットロードシステムといい、パレットを用いる複合一貫輸送のことを一貫パレチゼーション標準化された容器に形や大きさの異なる個品を積み込み輸送するのがコンテナリゼーション

ロジスティクスって最近よく聞く言葉だが、元来これは「兵站」を意味した。物流において使われるようになったのは最近だと思うが、ロジスティクスとは物的流通活動を全体最適の視点でとらえようとする、マネジメントの考え方のことだ。なんだかサプライチェーンマネジメントに似てる。
最後にサードパーティロジスティクス(3PL)について。物流部門は専門の物流業者にアウトソーシングすることが多く見られるが、この3PLとは、アウトソーシングではなくて、売主でも買主でもない第三者が、荷主に対して物流改革を提案し、包括的に物流業務を受託する業務である。物流部門を外注化するのではなく、3PLという全く別の企業に物流機能全般を委託するということ。なんだか分かりにくいなぁ。

ここまで物流戦略までを概観した。もう少しでマーケティング論が終わりそうだぁ・・・。