休みの日に外に出たらニイニイゼミの声が聞こえた。
セミの鳴き声は嫌いではない。
ニイニイゼミがやがてアブラゼミに変わり、お盆を迎える頃にはミンミンゼミに、さらに夏休みが終わりを告げる頃にはツクツクホウシになり、そうこうしているうちに夏が終わる。一年などというものはそうやって足早に過ぎ去っていく。
一日一日は気だるく過ぎていき、気がつけば部屋には秋がどかっと居座る。
夏になると村上春樹先生の『風の歌を聴け』を読み返す。40分もあれば読みきってしまう。あのページ数は夏はそれくらいあっというまに過ぎ去ることを示唆しているに違いない。
作中、「本なんてものはスパゲティーをゆでる間の時間つぶしにでも片手で読むもんさ。わかったかい?」という記述がある。
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我が家のキュウリが1株、死に絶えた。
よく分からない死に方だった。
死因を尋ねても分からない、という。雨が多いからさ、とうそぶいてみたがいまいち納得できなかった。
一方でミニトマトは元気だし、
まだこのように鈴なりになっているわけで
雨が多いから、というのが理由とは思えずにいる。
ピーマンだってこんなに元気だ。
世の中には不思議なことはない、と京極堂(中禅寺秋彦)はいうが、自分には不思議なことだらけだ。
「この世には不思議な事など何もないのだよ、関口君」
ま、そういうことだ。