この日はいい天気だった。
この日は移動日だったので空港に向かうまでの時間を使って佐世保港を散策してみたのだった。
海なし県の埼玉県で育ってきたので海というものに対して「想い」というものがない。海なし県にいると「想い」が出てくるのかもしれないけれど、自分には何の想いもなかった。海に対する憧れもなければ、海に対する怒りもなかった。愛憎いずれも持ち得ていないのだ。
だから波の音を聞いても
潮の香りを嗅いでも
水面の燦々と輝く光を見ても
自衛隊の艦船を見ても
汽笛を聞いても
何も感じられなかった。
それでも佐世保っていいところなんだろうな、という気がした。
出張というのは存外めんどくさいものだけれど、知らない土地で新たな見聞を広めることができるから良いものなのだろう。
佐世保駅の西側に広がる佐世保湾を眺めながら朝ごはん食べたいと思った。
この日は朝から太陽が照りつけ、10月半ばとは思えないくらいの気温だったのでビールが飲みたいと思った。
近くのガストに入り、モーニングを食べた。
やれやれ、モーニングの味は同じか。
空港に着くと空港は東京行きの便を待つ人々で混雑していた。