この日は暑かった。暑い日にはオクラの花が似合う、とは太宰治は言っていなかったが、このようなくだらない冗談を言っていないと頭がおかしくなるくらいの暑さだった。
ふと、こんなに暑いなら地面もすぐに乾くかな、と思った。
夕方頃、耕耘機が使えるくらい乾いてくれるなら、無理に暑いさなかに家庭菜園的活動を行う必要はない。
実にいい考えではないかと思った。
でも、いま、暑い。
この暑さの中、思考がおかしくなているのではないかと自問自答しつつ、少し冷静になるために落ち葉堆肥のあるエリアに向かった。
落ち葉を眺めながら、
今は暑い。
暑い中で作業をするよりも涼しい中で作業する方が効率よく作業できるはず。
夕方は(今よりは)涼しくなるだろう。
したがって夕方に耕耘機を使おう、
と考えた。
なんだか至極まっとうな考えのように思えた。
落ち葉堆肥の奥は、なんとなく涼しそうに思えた。
ま、16:30頃になったら考えるか。
菜園主はそそくさと菜園を後にした。