毎朝の愛犬との散歩コースは農道だ。
愛犬はあまり散歩が好きではないのでチンタラチンタラ歩く。世間の犬よろしくてくてく進むなどということは一切ない。本当にお散歩なのだ。
そんな愛犬も5歳を迎えた。5歳というのは人間で言えば30過ぎなのかな、などと考えつつ散歩に付き合っていると、彼も立ち止まり何やら考え事をしているようだ。
あと何年愛犬と散歩出来るのだろうか、などと考えつつ愛犬を見る。彼は遠くを見つめているようだ。
いつも思う。遠くを見て何を考えているのだろうか、と。
だからいつも彼に訊ねる。「ロクロウは何を見ているんだい?」と。
そうするとだいたいは無視される。
朝だから気持ちよい風が吹く。
「今日も暑くなりそうだな」などと呟くと愛犬は自宅に引き上げようとする。
おいおい、まだ10分も歩いていないじゃないか。
どうも愛犬にはマーキングとかそういう習性はないらしい。生理現象よろしく、しー、しー、しーとしたら満足するようだ。
田んぼのイネも穂が出て来た。
スズメが集団でイネに襲いかかっている。スズメの学校で運動会をしているのだろうか? あんまりちゅーちゅーするとコメにならないじゃないか、と思いながら愛犬の後を追いかける。
自宅に着くや否や彼は部屋に戻っていく。どうやら外よりも部屋の中の方が好きらしい。結構。どうせ室内犬なのだ。
そういえば、先日注文しておいたセスバ二アが届いていたな。
来年、出番が来るまで桐の箱に入って箱入り娘になっていてもらおう。